2004-11-01から1ヶ月間の記事一覧

無理

三宮で公開講座の打ち上げに合流して12時帰宅翌朝6時起きというのは少し無理があった。 午前2で午後1の立ち講義日。午前はパノラマからリテラシーの話へ移行し、絵を読む視線の動きの話まで。ついでにレポート提出を受ける。提出し終わった後ざわつく学部…

複数の写真史

昨日デジオで話をした特集号を購入。日本写真史が概説されたもの。おそらくこれを元に美術出版社のシリーズが加わっていくのだろう。 写真史が一般に共有される基本的知識になるのは歓迎。もちろん、もっと数多くの写真史がこれから紹介されるべきだとは思う…

自然の鉛筆論 その5

5枚目の写真。《パトロクロスの像》。 これもトルボットの邸宅で撮影されたものである。 ここにつけられたテクストは次のようなものである。 話は写真の用法から切り出される。立像や胸像などの彫刻は写真によって再現することができる。彫刻は白であるがゆ…

自然の鉛筆論 その4

4枚目の《ガラス器》。3枚目と同じく棚の写真である。左右対称に水平な3層の段に、さまざまなガラス製品が配置されている。 この写真につけられたのは次のようなテクストである。 図版3と図版4の大きな違いは手触り〔touch〕である。陶器とガラス器を一…

自然の鉛筆論3

3枚目。先ほどの2枚との違いは明らかである。それは食器を収める棚を正面から、画面いっぱいに写し入れた写真であり、それはまるでそれ自身がガラスケースであるかのような印象を与える。画面を水平に横切る棚の上に陶器はほぼ左右対称になるように配置さ…

自然の鉛筆論 その2

1枚目で書き忘れたがオックスフォードという場所も序文との関連性を取る必要がある。これはプレテクストの問題で後回し。 『自然の鉛筆』2枚目(ウェブでは右記を参照。http://www.getty.edu/art/collections/objects/oz46633.html)。パリの大通りの俯瞰写…

自然の鉛筆論 その1

トルボットの『自然の鉛筆』は、1844年6月から46年8月までに6分冊の形で出版された。24枚のカロタイプがページに貼付される方式で挿入されている――写真図版の数は第一巻が五、第二巻七、第三巻三、第四巻三、第五巻三、第六巻三である――。現在の感覚からすれ…

箒とランターン

昨日に続き写真図版の議論。フランシス・フリス、ジュリア・マーガレット・キャメロン、アンナ・アトキンス、トルボット、ダーウィンそれぞれの書物に挿入された写真図版を考える。例えば、フリスは『エジプト…』と『Hyperon』の挿図というドキュメントとフ…

自然の鉛筆論

引き続きアームストロングの本。写真とテクストが拮抗していた40年間を事例を中心に議論した研究。『自然の鉛筆』の写真図版とテクストは一般にちぐはぐだと言われているが、そうではなく、両者は写真を同化していくプロセスにあった書物における読者のある…

scenes in a library

トルボット論を考えはじめる。とりあえずここまでの作業の整理。キャロル・アームストロングの『Scenes in a Library』を読み直しはじめる(http://www.amazon.com/exec/obidos/tg/detail/-/0262011697/qid=1101020857/sr=8-3/ref=sr_8_xs_ap_i3_xgl14/104-98…

見学

デュシャン展へ。中ノ島に移転した国際美での展覧会。建物自体が地下にすっぽりとおさまっているので地上に出ているのは羽のようなシンボルのみ。地下のみの割りに圧迫感はないように配慮されている。ただ各階の動線はどうなんだろうという気がした。デュシ…

写真集論

会議とハンコ押しのために大学。 マーティン・ジェイ『伏目』を再開。シュルレアリスムとバタイユと写真をめぐる考察の部分を拾い読みする。 トルボット論を始める前に、写真集の問題、写真アーカイヴの問題について考えはじめる。写真集という閉じた集合と…

シベ超

今日の見計い。めぼしいもの。 1 鈴木理策、サント・ヴィクトワール山、 2 ティルマンス、Freischwimmer,ICC 3 ジャン=リュック・ナンシー 映画の明らかさ――キアロスタミ、松籟社 4 ウィノグランド、The Animals, 1はそもそもサント・ヴィクトワール山…

車庫入り

ポーター論のしめくくりを作成。彼の『大列車強盗』のもつ――分裂的構造、多面的上映方法、列車との関係、物語映画との距離、観者への訴求方法などの面から――多中心的なフィルムだということがますます明らかになる。 懸案のヒステリー問題は次期に回すことに…

シャルコーまで

列車映画論(パラレル・トラックス)を再開。時間の節からショックの節へ。男性のヒステリーとシャルコーの話まで。この話、すでにいくつかの論文もでており、まとめようと思えばまとめられるが、なかなかまとめるタイミングが来ず延々と続けてしまっている…

蝋人形と写真など

ディディ=ユベルマンの蝋人形論を読み終える。以前にも書いた蝋の物質性の問題が言及されるとともに、ヴァールブルクとフォン・シュロッサー、バタイユとニーチェが適時参照され、その反復的な生起の循環を締めくくりにもってくるのは上手い。美術史という…

第三の眼

・第三の眼展 写真家の畠山さんから、この冬フランスで開催される大規模な心霊写真展の情報をいただく。『第三の眼――写真とオカルト』というタイトル。 "Le Troisiem OEil" La photographie et l'occulte 11/03 - 02/06 (2005) Maison Europeenne de la Phot…

紙コップ片手に走る

早朝起きで健康診断。老いも若きも偉い人も偉くない人もシャツ一枚になって並び、採尿コップを手に走り、血圧測定に一喜一憂し、神妙に採血される。朝早く行くと、規定値をオーバーした血圧を測り直しするラスト・チャンスをもらえたりもする。後日分かる血…

緊急

立ち講3本の日。視覚文化論の午前はサックスの話と視覚体制の話と奥行き知覚の話。パノラマ論のお膳立てを済ませる。さて午後の部…のつもりが午後なぜか会議に召集されまるまる講義がつぶれてしまう。次週埋め合わせの予定。学生には申し訳なかった。 よう…

講義準備など

講義準備。もはや息切れ。雑用あれこれありすぎ。 そのひとつ引き続きカリキュラム考。学生時分授業なぞついぞ出席もしなかった人間がカリキュラムを組んでいる。よせばいいのに別枠の授業など立てたらこんな感じとか妄想だけが加速していく。 マッサーの論…

残り

昨日の写真の残り。上は天井の写真。当然ホールの天井も円形なのだが、面がわずかに凹面になっており、さながら天に向けた絞りのようになっていて、電動で開閉する仕掛けになっている。少しだけ開ければ巨大カメラオブスクラにならないものか。下は昨日の開…

何へぇ

1週おいて市民公開講座の仕事。今日は日本美術史から見た平家と日本文学から見た平家のダブル・ヘッダー。後者は、文字ではなく語りにおいて流通し、時間をかけて複数の作者とともに多面的な方向性をもつ媒体のはずが近代において固定した枠組みに閉じこめ…

ポスター

大学のポスター製作をまた依頼される。素材探しで延々と画面に向かう。Getty Imagesはやはり使える。さくさくと作って終了。

バルトとデジオ

■講読 講読2本。バルト『写真のメッセージ』は今日でほぼ終了。3種の共示の話をくぐりぬけて外傷的写真の話に着地。ただし次回には総まとめとしてメッツやエーコも含めて類像性の問題も追加することになる。これにバザンも加えてとりあえずこの問題圏の素…

梱包日

休み。 掃除がてら本を整理して50冊ほど大学へ送り、たまったビデオを30本ほど大学用に梱包する。ついでに漫画も大ナタをふるって整理。それでも自宅にはスチール棚10本ほど。本とビデオの入力バイトが欲しいところ。しだいに何があるかが不確かになってきて…

テクストプレテクストテクスト

立ち講義3本の日。 視覚文化の3回目。ヴィジュアルとはの回。「犬」も「騎士」も見えないとは…何か視覚偏差値が低すぎる。 講義・研究は初期映画論を続行。プレテクストとテクストがいかに相互に連関しているのかをジャンルやメディアの横断を例に説明。原…

犬目

翻訳続行。 ここで(⇒http://d.hatena.ne.jp/mika_kobayashi/20041031)紹介されていた「ワンダフル・ショット」(http://www.tomy.co.jp/wonderfulshot/index.asp)について思うこと。写真における目線の問題とは、つねに主体/被写体〔subject〕の間のパワ…