理想的写真

photographology2005-05-05

向こうのステレオダイアリを久々にアップ(http://homepage1.nifty.com/osamumaekawa/stereodiary01-40.htm)。

 写真は、昨日読んだ論文についていた一図版。汎神論的な、ロマン主義的な科学観に浸透されていた植物学が目指すべき目標地点を表象した写真という。撮影者はドイツのエンスレン。彼はこのプリントを1840年9月にトルボットに送付してもいる。これは、正確にはオークの葉にキリストの頭部が接木されたフォトジェニックドローイングである。
 写真発明期のトルボットらの物言いのなかには、写真のプロセスを形而上学的な原理と重ね合わせているようなところもある。自然自らがその姿を描き出すとか、自然の鉛筆だとかという言葉のことである。たしかトルボットの初期の実験にはガラスに描かれたキリストの頭部をフォトジェニック・ドローイングでプリントしたものもある。近いけど遠い聖顔布。