宙吊り/写真

知覚の宙吊り―注意、スペクタクル、近代文化

知覚の宙吊り―注意、スペクタクル、近代文化

 クレーリー『知覚の宙吊り』をようやく入手。訳者の岡田さんはいつも驚異的な翻訳作業をこなしている。岡田組おそるべしと常々思う。
 それはさておき、邦訳2冊目にあたるこの本では、近代の視覚制度の新たな枠組の把握に議論が多くを割かれていて最後はターナーの朦朧体になぜかおさまってしまった感のある『観察者の系譜』よりも、さらにさまざまな事象を料理しようとするものである。ステレオスコープあり、パノラマあり、初期映画あり、心理学の実験装置あり、贅沢すぎるほどのコンテンツである。ある意味、視覚文化研究の参照点となるような著作。
 すでにバッチェンによるクレーリーの議論へのコメントでも挙げたいくつかの問題が(http://homepage1.nifty.com/osamumaekawa/batchencrary.htm)、どこまでうまく論じられているのかを読もうと思う。ただ、ざっと見た感じではやはり写真が欠落しているのかもしれない。ともかく来週読んでしまおう。


緊急の校正ともうひとつ雑用に手をつける。