見て聴く一日


id:monodoiさん、
そうです。同一人物のイシダさんです。
分からない人はトラックバックで。

妖怪ハンター 天の巻 (集英社文庫)
文庫化されていた。
桜の散る季節になると「花咲爺論序説」を想い出す。これはどこかに書きます。
諸星の文庫はちと読みづらし。
ウィキペディア諸星大二郎の手塚のエピソードはちょっと面白い。

■トルボットへ
 今日は杉本博司レクチャーを聞いて、その後に京近美のパフォーマンスへ。
 レクチャーのほうは全体が1時間半、そのうち30分はスイス国営放送が最近放映したKulturplatzを流し、主要作品を簡潔に把握させたうえで、渡米した頃の作品から現在進行中の作品までの主要作品を、的確に解説した内容だった。制作の裏側があれこれ聞けたのも収穫。 これは、グッゲンハイム美術館でシリーズで開催されている《Good,Better,Best》という作家の作品制作履歴を披露する展覧会の情報に基づくものだったようだ。ローリー・アンダーソン、ジェフ・クーンズとスギモトの三名がその回はセレクトされていたことがここでも分かる。
 例えば、「ジオラマ」は最初に自然史博物館に行き、35ミリで撮影したバージョンがあり、その後何度かの試行――たとえば枠を消す、光の反射を消す、空の部分と地の部分をうまく陰影をつけるために黒い板を使って黒子のような格好をして動き回ったという話とか、ステレオ的見方を単眼にした際の後景の立ちおき方に気づく点とか――が重ねられていることが詳細に語られ、その後いかにしてギャラリーで認められ云々の話が漏れ聞こえる。
 あるいは、「シアター」では無許可で斜めから撮影したバージョンから語りおこされ、ポルノ映画館でのバージョンとか、上映されていた映画のタイトルとかも披瀝され、「シースケイプ」では、日の出日の入り潮の満ち干きのデータを書いた制作メモが大写しにされ、、、とにかく情報の多いレクチャーだった。もちろん蝋人形の撮影のしかた、そのコンセプトも確認する。
 数理模型シリーズのポンピドゥのブランクーシの移設スタジオでの展示の話――マン・レイの数理模型写真と杉本の模型写真の関連――、模型制作の詳細(車の部品を制作している工場でのデータ入力とそれに基づく彫刻作業、0,1ミリ単位での小片の結合の作業など)、、、これももちろんタイトルからコンセプチュアル・アートへのほのめかしはすぐに理解できても、その詳細はなかなか調べられなかったので参考になる。
 また、最近の展覧会のいくつか、たとえばボルドーでの城を会場にした展覧会、ソフィ・カルとの展覧会、これも面白い情報だった。とくにボルドーでの展覧会では二種類の新作が展示されている。とくに前者で展示された新作はどちらも展開として面白い。ひとつはトルボットのネガを使用した――驚くことにトルボットのネガの世界的なコレクターなのであった――作品、もうひとつはライトニング・フィールズ(もちろんウォルター・デ・マリアにたいするほのめかしと複数形にしたずらしの意味)。
 トルボットへの遡及は、とてもよく分かる――写真を撮るということは考えることだということ――。もうひとつの放電実験のコンタクトプリントも、実はトルボットが行っていた実験の継承であり、いまだ写真家という枠組みが定まっていない時期の本来的な写真家の姿の継承である。
 一言だけ反論すると、ダゲールという香具師香具師で面白いのである。複合的なエンタテインメントを仕掛けた香具師として読む、その可能性も平行して考える必要はもちろんある。

京近美の報告は誰か書くと思います。
というか、誰か書いてください。よろしく。