表象文化論学会

先日書いたように東京の表象文化論学会でパネル担当。
初日はシンポに出て二日目も朝から比較的真面目に発表を聞き、質問したり、司会したりする。

■学会
 初日のシンポはたしかにかみあいにくい感があったのではあるが、発火点がいくつかあった。最近かみあわないならかみあわないなりにどうすべきかも参考にしたりしている。そういう意味で参考になった。
 二日目の各パネルは、午前は写真関連のコーナー、午後は医学関係のコーナーに参加する。前者では調氏の発表がよくまとまっていた。もちろんステレオ視をもう少し掘り下げるともっと仮説が面白くなるとは思ったが、言われてみるとベルメールの作品が別のしかたで見えてきてしまう、貴重な指摘であった。それにしても田中さんの発表についてのすばやく的確なさばきかたは勉強になる。
 そして午後に19世紀メディアと身体の残滓コーナーの司会&コメントをする。
 何よりも勝手に師匠と呼んでいるホソマさんの活躍もあり、三人の発表がゆるく結びつくコーナーになった。異像としてのステレオ写真のホソマ氏、ステレオ聴の福田氏、指紋研究の橋本氏がそれぞれ独自の語り口で、メディアと身体の手がかりをあげてくれ、いくつかの問題を俎上にのせることができた。もちろん、時間をうまく統御しきれなかった司会の責任で、質問時間も少なく、全体での討議がもう少し深められなかった点は反省すべきところである。これは私の責任。だが、当初のプラン+αの義務はたせたのではないかと思う。
 聴きにきていただいた方々、発表者の方々、ありがとうございました。

彦根のひと
 その後、他のパネルの皆さんとも合流して下北沢で飲む。おめもじし、元気で若い優秀な研究者たちと知り合う。
 でもその間、ぼつぼつと話をさせていただいていたのはやはりホソマさんであった。医学関係パネルで話題になった反復的動作がいつ質的に突破されるのかということ、監視カメラの切り替えと反復には注意への焦点化への誘導がどのように潜んでいるのかということ、心霊映画の反復的な映像の道具立て、ポストハリウッド映画における時間の決定的なレイヤー化などなどについて酔いつつ喋る。その間にも、師匠は次々と引き出しをあけつつ、シャクトリムシの模倣について、アメリカのカートゥーンの歴史について、福音書についてを延々と喋っているのであった。そうそれとスピルバーグ宇宙戦争のサイレン的な音の話もしていたのだった。
 さらに移動中の電車の中では橋本氏とのあいだでの指紋話をひたすら聞き、最後は、その橋本氏ホソマさんと編集者の中村氏とで新宿の中華料理屋でなぜかあらびき団ボキャ天とうたばんとレッドカーペットの話をしていた。
 彦根の賢人ないしは異人、ホソマさんを僕らはそう呼んでいる。
 ステレオ写真の話については、後日書くと思います。