顔、映画写真、遺伝子工学

■顔論
ガニングの顔論(In Your Face)をざっと読む。19世紀末の科学と娯楽に、運動と静止に引き裂かれるとされる顔のクロースアップ・イメージが前提にしていた「好奇心」を説いた論。後の物語映画におけるクロースアップとは異なる顔という磁場の問題、そのバフチン的快楽などが核。この論文でもバーナムについてハリスが説く「オペレーションの美学」が重要な中継地点をなしていた。収録された本も再掲しておく。
The Mind of Modernism: Medicine, Psychology, and the Cultural Arts in Europe and America, 1880-1940 (Cultural Sitings)

■映画と写真
Freeze Frames: Zum Verhaeltnis von Fotografie und Film
この論文集には、スティグレールブレードランナー論、キルヒマン+ヴィーデンマンの時間旅行映画における写真の機能についての論、アメルンクセンのキューブリックの写真についての考察などが収められている。この3本は即読んでみる。編者のディークマンの本で次のものも面白そうである。
Mythologien der Fotografie: Abriss zur Diskursgeschichte eines Mediums

遺伝子工学的想像力と映画
The Cinematic Life of the Gene 
マルヴィやカートライトが推薦文を書いているのでひとまず入手。著者はフェミニズム映画理論家。文化的なコピー技術である映画から、私たちの遺伝子工学的想像力の問題を議論した本のよう。『エイリアン4(復活)』、『スピーシーズ』、『ガタカ』、『コード46』などの作品、他インディペンデント・フィルム2作品が分析例になっている。ひとまず積んでおく。