新刊宣伝

photographology2004-08-18

 どうやら流通にまわったので新刊宣伝。一柳氏編『心霊写真は語る』(青弓社、2000円)の見本が届く。私も写真論を書かせてもらった。ぜひご購入あれ。宣伝ページも少しくみ上げておきました。

 旅というのは旅している間にかきあつめた資料を整理してようやく終わる。まだその整理をしているから旅は終わらず。
 一冊、ブルームの蝋人形論(『ワックス・ワークス――文化的強迫』)という傑出した資料を読んでいる。少しだけ抜粋して要約。蝋人形はモダニズムポストモダニズムの間の境界線、つまり自と他、主客、人間と不活性な形態、生きている身体と死体、生と死、男女、固体と液体、力動と静態、映画と写真、正気と狂気、歴史と虚構、真偽、オリジナルとコピー、内と外の境界線を溶かしてしまうのである。蝋人形は解剖学用であろうがタッソーものであろうが、どの国のものであろうが、文字通り溶解してそのあげくに再成型していく。蝋の物質性を契機にした面白い論考かもしれない。