バルト論

Shawcrossのバルト論(Roland Barthes on Photography)を読む。これはかなり希少な本。というのもバルトの写真論に関して、『明るい部屋の謎』以外、きちんと議論した本がなかなかない。さらに言えば、彼の『神話学』以来の写真についての言及すべてをその視点のズレや重なり合いを整理した文献は稀有。いやそれより以前に、バーギンやタッグらの70年代のバルト評すらほとんど紹介されていないというのも、変な話である。ともかく彼が写真へ焦点化していく過程における――一見写真とは無関係に思える――テクストをおさえつつ、明るい部屋で潜在的に想定されているいくつかのテクストを明瞭にしていく作業が必要。