テクストプレテクストテクスト

 立ち講義3本の日。
 視覚文化の3回目。ヴィジュアルとはの回。「犬」も「騎士」も見えないとは…何か視覚偏差値が低すぎる。
 講義・研究は初期映画論を続行。プレテクストとテクストがいかに相互に連関しているのかをジャンルやメディアの横断を例に説明。原作と翻案とかいう観念とも、その前提となる自立した作品とも無関係であり、視覚的訴求力が強く断片的なタブローを次々と見せる映画、今から見れば退屈きわまりない映画をいやというほど見せる。例えば新聞の挿絵で報道された事件はそのまま映画のタブローを構成するソースになるとか、絵画の伝統的構図との関係とか、テクスト自体も分割されたり結合されなおしたり――例えばリュミエール作品の庭師とカード遊びが融合されたりとか――、間テクスト性とでもいうべき状況がここには生じている。
 この連関に入り込む一要素として蝋人形も生き人形も考察してみることができる。このネタ、今期はどこまで展開できるかはわからないがあと2週はしぶとくやる予定。できうるならば受容者という主体の階層に還元しもしなければ、かといってフォーマリスティックな様式分析にも帰着しつくさないような、見ることの具体的でありながら反省的な契機も生む水準を設定してみたい。何を言っているか理解されないだろうがこれは課題。

等など…と考えていたらタッシェンの『解剖百科』が到着する(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4887830653/qid=1099397317/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl/250-4874912-7101821)。これはフィレンツェの解剖標本の蝋人形の目録になっている。蝋人形の系譜をたどる上で必須本。が、肝心のディディ=ユベルマンの論考が邦訳版では未収録になっている。改めてハードカヴァーを注文(http://www.amazon.com/exec/obidos/tg/detail/-/3822876135/qid=1099397424/sr=1-2/ref=sr_1_2/103-5862179-7893464?v=glance&s=books)。廉価版も11月には出る模様。