だからこその転倒

面白くないと書いたけれども、それは必要ではないということではない。イーグルトンが『イデオロギーとは何か』で書いているように。…イデオロギーという言葉を用い、イデオロギーについて語ることが何かしら機能不全に陥っているように思えてならないからである。「イデオロギーがある」「はイデオロギーである」という言い方はできるし、彼が言うようにそれが別段解消したわけでもないのに解消したかのように扱われてしまってよいものでもない。ただし、その射程が単層的すぎるため、「『だからこそ』の転倒」(東)以降の複合的な状況をとらえきれないところにある。