かわいいロールパン


  

  

 以前紹介させてもらった河合さんの展覧会をのぞく。写真はその模様。
 以前の作品では絵の地の中に埋まっていた存在物のひとつ「オルブテルアール」が単体で独立し、画面を飛び出してステージの上に並べられる。全体的に、以前のものより光沢が出て、より虫らしさが前面に出て、それがこれだけ並ぶと壮観である。
 オルブテルアールはアース、アニマル、インテリジェンスに分かれるらしい。通常体のアニマル、風景を擬態したアース、ナスカの地上絵のような文様が入ったインテリジェンスの3つ。
 それぞれのオルブテルアールが地の写真入りのステージに置かれている。よく考えると、地から飛び出てきた図である存在物が地を模すことで生成していることになる。擬態/生成の捩れて戻るありかた。そういう意味では、今回区別されていたアニマル/アースの差異の今後の展開に関心をもつ。つまり、生物を模しているオルブテルアールと環境を模しているオルブテルアールの境はけっこう際どいのではないかということ。そもそもの生物が環境を擬態している場合も多いからである。また平面と立体の擬態関係という問題にもオルブはうまく切り込んでいくのかもしれない。擬態が幾重にもなりそうな気がする。

 それにしても、原材料になっているロールパンの形状がパン屋によってかわいいものとそうでないものとに分かれる話には笑ってしまう。ロールパンの胴の張りの豊かさがポイントのようである。
 ついでに航空写真のような空からの眺めを擬態したアースを一点買う。