1+2の映画


■映画の中の写真
 遅まきながら、昨日挙げた『ヤンヤン 夏の思い出』を見る。原題はa one and a two(1+2)。この映画、写真が随所に登場する。記念写真の光景、祖母の若い頃の写真、家族の結婚写真、額縁に入った、鏡の縁に挟まれた写真、ヤンヤンのとる人々の後姿、蚊を撮ろうとした滅裂写真。同時に、この映画には監視カメラ映像、雲を語る教育映像、殺人事件を報道するニュース映像、アクションゲームの映像、窓の反射やそのレイヤーの重なりなどが写真に折り重なり、夏の日に起きた激しい一連の出来事を媒介する。人生=映画は複雑に見えて実は1+2のごとくシンプルなものであり、そのシンプルな接線ともいうべき未完の複数のアクションを、数々の映画内イメージで優しく繋ぎあわせるという仕組み。映画はそうした複雑さを二倍の強度のうちに示し、人生という1に2をたしてくれる。本当に優しい大人の映画。エドワード・ヤン作品はまとめて見てみようと思う。

今日はここまで。