巴里1
久しぶりの巴里。何回かに分けて書こう。
■巴里と喫煙
どうでもいいことだが、フランスでは法律で公共の建物内では全面禁煙になっていた。レストランもカフェもすべて禁煙。ホテルは大丈夫だがこれは難儀だ。と思いきや、店の表で喫煙するひとは無数におり、歩きタバコをする人はざらであり、カフェのテラスのよくできた電熱暖房機のもとで皆タバコをスパスパ吸う。かえって喫煙者にとっては居心地の良い街になっていた。どこかの国の禁煙原理をもちこんでも、案外それは無意味だという例だろう。ま、来年の冬が今年ほど暖かくならなければ、こういう杓子定規な禁煙法への抵抗ののろしもあがりそうだという話も聞いた。
とはいえマルボロはひと箱800円。そのためか、たばこをせびる人たちの身振りが実に演劇的で毎度笑ってしまった。アピール抜群のひとにはたばこをさしあげる日々だった。
■巴里写真情報
巴里で写真について情報を得ようとする場合、写真情報はいくつかの機関に散らばっている。
たとえば、オルセ美術館が所蔵している写真がある。今回は一九世紀末から二〇世紀半ばまで活躍したアマチュア写真家の小ぶりな展覧会を開催していた。イリュストラシオン誌にも多くの写真を提供していた幅の広い活動がコンパクトにまとまっている。もちろんオートクロームものも多いし、このあいだ文章に書いたリュミエール的なアマチュアぎくしゃく写真も数多くある。最後のスペースではアマチュア写真の受容において重要なメディアだったスライドショーもそれとなく再現されていた。
なかでも気球写真はこうして何枚も眺めているとその魅力が明らかになる。気球がいかにフォトジェニックか、気球の大きさが画面を占めることが画面にどのような面白さを生じさせるのか、気球からの斜め上写真は、モダニズムの俯瞰写真云々よりももっと面白い側面もあるのではないかということ、そういうことが少しつかめたような気がする。
オルセは時々、写真や映画の本が何気なくころがっていることもある。
ポンピドゥーは本屋を訪問。写真展は時折開催されることもある。ここは本屋を一覧すれば欧米の動向が何となくざっとつかめるので便利。とはいえ写真コーナーはいまひとつ。結局、シャーマンについて書かれたオクトーバー誌掲載の論文を集めた本、そしてグルスキーやデマンドを論じた論文も収められた『リアルなものの状態』という論集を買う。
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The State of the Real: Aesthetics in the Digital Age
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