リモコンと世界外の声

■マックス補足
 マックスヘッドルームの奇妙な点は、TV受像機すべてに電源を切るためのスイッチが付いていないこと、なおかつ双方向的な送信受信装置となっていること、さらに都市内部と外部のスラムのいずれにおいても、TVがふんだんに積み上げられ、ひたすら明滅しつづけていること、などがあげられる。
 また、CG技術としては現在から見ればやはり古色蒼然としているものの、ワイヤーフレームでの3D空間の表示、CGらしさを出すために、俳優にメイクを施したうえで映像を吃音気味にずらしつつ反復している点が、たぶんこのキャラクターがシリーズ化にいたる要因のひとつなのだろう。もちろん、TV番組でTVものTVを入れ子式に放映することが、結果的にこのシリーズの打ち切りの遠因になったことは確かであるのだが。

カウチポテト的映画
『チャンネル・アドヴェンチャー』を一通り見る。原題は「Stay Tuned〔チャンネルはそのままで、、、くらいか〕」。よく作りこんだTVもの映画。スタートレックや有名クイズ番組やプロレス番組などのパロディという地獄のTV番組の流れのなかを彷徨う夫婦を映し出すシーンの合間に、「羊たちの沈黙」マスクの宣伝など、これまた風刺的CMがさしはさまれる。リモコンを中心にしたクライマックスは『ショッカー』と同様。また、悪魔のアンテナに話しかける息子の声が映画の物語世界の中で神の声と誤解される地点から事は転換し、大団円へ向かうのもTV的メディアならではの仕掛け。ほかの映画にも同様の事例がないのか、少し探してみることにした。
 また、先の声の問題とは別に、リモコン描写を見ていてすぐに気づくことだが、映画における一時停止や逆回しと、TV(ヴィデオ)におけるそれは次元がまったく異なる。それをもう少し検討してみる。