デジャヴ、反復

■デジャヴ、反復
デジャヴ [DVD]
 過去が見えてしまう装置を介した時間遡行もの。ブレのない鮮鋭なサーチ画面と顔認証的サーチフレームと極大極小像が装置の特徴。これが冒頭のサーチシークエンスを含めて映画のかなりの部分を占める。捜査官は、時間的隔たりがあり、過去の必然的進行を静止できないまま見るのみの観者となる。そうした状況での、並行に距離を置きつつ同期化する過去と未来の並行像、電話を介しての手探りの過去の映像のサーチが案外面白い。だが、後半で主人公が過去にいってしまってからはどうなのか。もちろん全体として、サーチされた冒頭のシークエンスがクライマックスでほぼ繰り返されることも、物語的枠ではなく、映画の枠組みをずれていく構造として、つまりデジャヴ(つまり通常の既視現象)ではない別の変な反復として見て取る必要性もある。うまくいえないがひとまずメモ。

■顔の光景
マンフレート・シュナイダー編集の観相学本が届く。3日前にここに挙げたGesichten der Physiognomikのこと。観相学的なものの30年代における回帰を、ザンダーとトゥホルスキー/ハートフィールドのそれぞれの実践を対照させつつ説明した論文も収められている(ザビーネ・ハーケ論文)。ドイツ語の顔Gesichtと眺め/見ることSicht、それと顔貌Antlitzとの違いなど、1930年前後の視覚文化・顔文化のキータームについて、たぶんこの論集のどこかしらにも記述があるのだろうが、もはや時間なし。これはいつか顔写真論に組み入れたい。

■関連書再読
念のために目を通しておく。
幼児期と歴史―経験の破壊と歴史の起源
他者の耳―デリダ「ニーチェの耳伝(じでん)」・自伝・翻訳
キャダヴァの本『Words of Light: Theses on the Photography of History』も再度読む。