科研等

■お知らせ
 私もメンバーの科研で次の講演会があります。外部に向けて公開かどうかはわかりませんが、基本的に大丈夫だと思います。ということでお知らせまで。この後、ラマール氏は表象文化論学会でのシンポジウムにも出るのであるが、その情報もリンクしておきます。たぶん、――まだ調整中だけれども―― こっちも一瞬だけ行くとは思う。デマンドもついでに見る。

トマス・ラマール教授(マギル大学)講演会
エクスプローデッド・プロジェクション——技術的パラダイムと日本アニメ

 日時:2012年7月5日(木)15:00〜17:00
 場所:京都大学吉田南キャンパス総合館南棟334教室
 司会:門林岳史(関西大学
 使用言語:日本語
 *入場無料・事前登録不要

本講演は、デジタル技術の衝撃に対して現代アニメがもたらす洞察を、日本のアニメ・メディアアート・物質文化ならびにハリウッドのSFX映画を実例として検討する。イメージと運動が組織される既存のモードがデジタル技術によって容赦なく脱-構造化された結果、イメージのフローとイメージの世界の組織化を構造的に把捉にあたっての新たな支配的モードとして、爆発する投影(exploded projection)が現れた。日本アニメの世界的ブームはもとより、現代においてアニメーションが遍在する一因は、イメージの組成という次元においてアニメーションが作用する傾向に存する。そうしたアニメーションの傾向が、運動とフローの新たなモードへとイメージ空間を開くとともに、新たな技術的パラダイムを作動させているのである。


 ということで学部ゼミでラマールの「フルリミテッドアニメーション」を読了する。面白いには面白かったが、運動イメージ/時間イメージとフル/リミテッド・アニメーションを重ね合わせて、複数の行動領域や次元に拡散していく運動/時間イメージという開き方は、――ラマ―ルだからこそのアクロバシーであり、強引な横滑りなのだろうが――やはり少々無茶とは思った。具体化、会社(化)、魂に充ちた身体化の「コーポレーション」はそんなに一様ではないし、そこにこそ間隙を見て複数化すべきではないのだろうかとも思う。とはいえ、そこまでの議論だけでも、アニメーション史を詳しく知らぬ者にとってさえも、アニメーションを考える作業がいかに刺激的な感覚的かつ思考的作業なのかが提示されているということはできる。