キリストの頭部の写真

ゲッティから出ているグレアム・スミス『Disciples of Light(光の使徒たち)』をめくる。スコットランドでの写真の展開の問題も少し調べてみる必要がある。
 その中に出ている図版で思い出したのだが、そういえばトルボットによる写真には『キリストの頭部』というものがある。ガラスに手描きの絵が写真にプリントされているのである。これは当然のことながら、聖顔布を容易に想起させる主題なのだが、他方で素描や絵画など手描きのイメージを複製する彼の実験とも繋いでみることができる。なかにはただの手書きの文章の写真もある。面白いのは、植物標本という自然の事物ともっともコード化された対象という事物が彼のフォトグラム的実践に多用されている点である。写真はこれ→
 そういえば聖顔布に関しても、それが発見され話題になった際には写真が深くかかわっていたという話をどこかで読んだ覚えがある。布のままでは判別が不可能だがネガにすると顔が明瞭に同定できたという話である。
 それにしてもネガの定義はすこぶる難しい。