縦糸と横糸

校正原稿一本と執筆中の原稿一本。

 あいかわらずトルボットの写真をつなぐ縦糸や横糸をいくつも数え上げている。
 あの格子窓写真につけられた1839年のテクストでは、像を拡大して格子模様を数え上げる可能性が示唆されている。同様にレース写真においてもなぜか顕微鏡を用いて拡大を行い、その細部の反復を見る可能性が示唆されている。さらに言えば、彼による結晶の写真や昆虫の羽の写真も顕微鏡を用いた写真である。レースを良く見ればその縁には植物の模様が刺繍されている。繰り返される模様、それがこうした写真をつなぐ糸である。
 彼が拡大に用いる顕微鏡は太陽顕微鏡であった。それは、光を導きいれて極小の被写体を透過させ、それを壁に投影して露光する仕掛けになっていた。顕微鏡とはいいながら、これはある種の幻灯であり、人は薄暗い部屋のなかでこうして拡大されたイメージを目にしていたようである。
 自然であれ人工物であれ、こうした柄、パターンの反復が数々の写真において表象されている。あとは翌日に書き次ぐ予定。