オトコのロマンに火をともすカメラ

神戸。会議会議で予行演習三人分。間に合えと祈ってみる。

■みすず最新号
月刊『みすず』を、表紙の写真の北島さんから頂く。これに心霊関係2題あり。トローク「心霊術に何が隠れているのか」(3回に分けて連載予定)、宇野「映像身体論ノート7 ヒッチコックの場合」。後者は怖い映画の怖さをめぐる考察。

■もの写真4
 今日は喫煙具とスパイカメラ。マッチを擦る、ライターの火打ち石をこする、火花が散って火が点る、煙草にジジッと灯りがともり、黄色い煙がすーっと鼻先掠めてあがっていく。そうした動的な触覚性をそなえた喫煙具。当然、ものカメラにもこの感覚が当てはまらないわけではない。そんな意味でベタといえばベタな、男のロマンにそれこそ火をともすとか言ってしまいそうなロマン満載の喫煙具カメラから挙げてみよう。
   
 最初のものは「エコー8」(1950年代)。火も点くし、火打ちの横のレバーを押せば相手に向かった四角い穴が開いて撮影する。真ん中は飛ばして、右は1950年代、卓上ライター型。ミノックスが装填されている。煙草型もマッチ型も豊富。
   

 左はJPS型カメラ。キエフ30なるカメラが装填されている。でもポーランド製。右も同様。ラッキーストライクの隣のマッチ箱は光度計。さらにその次はマッチ箱自体がカメラのもの。ここらへんKGB対CIAとか、スパイ的文脈とかが匂ってくるのは確か。
 昨日の化粧品スパイカメラと同様に、煙草関連のスパイカメラで面白いのは、その同時的身振り。火をともすひとつの身振りのショックが注意を惹き、空いた注意の隙間にターゲットは撮影される。
 これだけ男のモノコレクションを見ていると、つい『MONO』誌すら思いだしてしまう。そのバックナンバーはここ。小銭をもった自称「男の子のこだわり」が雪崩になって迫ってくる。万年筆カメラというのも、この男のこだわりグッズ系であるし、調べるとミノックスを販売するサイトは同時に精巧な機関車玩具も販売している。
 漢のロマンに火をともす男の子ものカメラ、そう呼んでおこう。