もうひとつの立体写真


fotoescultura、英語でfotosculpture。そのサイトを探す。
たとえばここ。そしてここ。スタンド状のものもあれば栞状のものもある。もちろん、バッチェンの本にあがっているような不気味な立体性に及ぶものは見当たらない。しかし、切り取られた輪郭線の際立ち加減と周囲の空気との分離感はどこかしらステレオの浅く深い奥行きに通じるものがある。何より「あなたの写真に生を与えます」という売り文句がいい。

■Forget Me Not 8
距離を置いた親密さ。上でも述べたfotoesculuturaは日本語ではなんと訳せばよいのか思案中。
メキシコやメキシコ系アメリカ人のなかでとくに人気のあった写真を立体的な彫刻と組み合わせて置物にした制作物。その表面にはガラスが嵌め込まれ、被写体の胴体部分は木彫り、現実の立体よりも衣服の襞には現実以上に深い立体感がつけられている。生々しさと静態性が同居した奇妙な合成物。しかしバッチェンの引く研究者の言によれば、メキシコにおけるカトリック的伝統には具象的なものと抽象的なものとの直接的な結びつきがあり、そうした世俗的なものと聖なるものとの不可分性がメキシコ的な感性にはある、バッチェンは、それを距離を置いた親密さというキーワードにまとめている。この写真彫刻、バッチェンはeBayのオークションで入手しているようなので、少々がんばって落札を目指してみたい。

それと動くバッチェンを見たい人はここをごらんあれ。