憑依されたメディア2


パンデミックのメモはミクシにあげました。

■憑依されたメディア
 5つの時期にそれぞれメディアを語る心霊譚はどのようなものであったのか。
 電信においては、心霊電信の話がある。有線か無線かの違い、無線かラジオ放送かの違い、それによって心霊譚は差異を帯びてくる。もちろんいずれのメディアにおいても、意識と情報と電気がひとつの流れとしてメディアを通過するという点では類似性はある。これはたぶん昨日書いた。

(1)1844年の電信の発明とともに、心霊主義者たちは心霊電信なるものを構想する。死者たちの霊と霊媒とが交信することのできる電信である。電気メディアにおける不可視の存在の「現前」の可能性、それが、電信というメディアの線によって、この世で物質化されるのである。もちろん、初期心霊思想と女性の政治的位置との関係についてはいくつかの研究で指摘されている。
 一方で交霊会の中心をなす霊媒は多くが女性であり、彼女たちは霊のメッセージといいながら、政治的状況について発言する機会を得ていたのである。他方でそうした言説は、男性中心主義的な合理主義的な科学的言説によって非難される。彼女たちの精神と身体が電信さながらに、しかも不均衡に遊離されてしまった状態にある、そのように診断をする。つまり心霊電信は、ジェンダー化された身体を父権的な領野から幽体離脱させる、それが賛否の議論の中心になる。