グラフィティとループ

 落書きの過熱報道を目にして、グラフィティとその参考文献や写真集を今となって注文する。
グラフィティ・ワールド路上のエスノグラフィ―ちんどん屋からグラフィティまでポンペイ・グラフィティ―落書きに刻むローマ人の素顔 (中公新書)優雅でみだらなポンペイ―古代ローマ人とグラフィティの世界Subway Artニューヨーク・グラフィティ
 フォトグラフィティ論というのも考えうる。もちろんネットにあがる落書き写真画像にむらがる一連の動向も含めて。

■映画史のループ
 以前も紹介した『ストップモーション、時間の断片化』というシンポ記録掲載のエリック・フェイデン「クロノフォトグラフィとデジタル映像」をまとめている。初期映画や映画以前のループ、ワイヤーフレーム、時間の凝結化という揺籃期の映像実践や技術と、現在のCGIにおける80年代から90年代末までの推移をつきあわせた論文。たしかにマイブリッジが同時撮影した5枚の身体写真を廻せばマトリックス的にはなる。もちろん論者の意図とは、こういう古い外観をとって現れる新たなものという契機を、ベンヤミン的に覚醒へもたらす可能性を示唆できないかということだと思われる。
 彼の議論の問題は、やはり物語とスペクタクルの対立を立て、それが最後までひきずられているところ。とはいえ物語形式におけるループにも最後には言及しており、『ラン・ローラ・ラン』や『スタートレック』の一挿話が例に挙げられているのであった。後者の「因果」というエピソードでは、時間のループに巻き込まれたエンタープライズ号がCMの直前に爆発して、CMの直後には再び何事もなかったように数度目の同じ生をいきなおしてしまうらしい。TV的享受に特有の断絶とフローの典型例と言えるのかもしれない。
 その前に、ワイヤーフレームやポリゴンものも消化しておく。
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