音と筋肉


■音ホラー
今年の夏もホラー仕事があるので、いくつか見繕う。
サイレン スタンダード・エディション [DVD] 叫 プレミアム・エディション [DVD] 輪廻 プレミアム・エディション [DVD] 呪怨 パンデミック-ディレクターズカット・スペシャル・エディション- [DVD]
音系ホラーに着手すること。すでにみた呪怨ものを再度考えること。『叫』の叫びも笑いながらしっかり記憶にしみついているのでこれも考えること。暗い優香の叫び顔もついでに足しておく。
さらについでに先日話に聞いた『宇宙戦争』の音も気になるので注文する。
宇宙戦争 [DVD]

■筋肉表象論素材
蛇ダンスでは、アナベルよりもフラーがすごいんですという意見も院生からもらったので、フラー本を注文する。光の痕跡や電気サロメという題に心をつかまれたところもある。
Traces of Light: Absence and Presence in the Work of Loie FullerElectric Salome: Loie Fuller's Performance of Modernism

諸々こんなことを朝方まで調べて仮眠して職場に行き、ゼミで筋肉表象の発表を聴く。出発点としては好感のもてる発表ではあった。

 要約すれば、フーコー的な問題設定をずらし、諸々の身体に絡み合う言説を腑分けし、その相互の言説の拮抗をひろいあげ、各メディア間の表象コードの時差を押さえ、そのうえで雑誌写真のレイアウトでなければ見えてこない表象を問題化する。なおかつガニング的問題構成もきちんとさばいて少し距離を置いた視点を呈示する。セクラの正常と異常の身体表象という力学も斜めにずらしていく…そんな必要事項が最低限の用件として思い浮かぶ。その3割位を学生はやろうとしていたようであった。

 さらに追加すれば、身体鍛錬の男性のみならず女性も分析例としてあげるべきであろうし、身体鍛錬モデルのひとびとが、他の見世物やアカデミーでのモデルや、ダンスの教師や、初期映画の被写体や、カルトドヴィジットの被写体、体育思想の権化にもなっていた、いわば新旧諸コードやメディアの紐帯としての役割も果たしていたかもしれないという推測もどこかで頭の片隅に置いておくことも必要、そんなことも思い浮かぶ。

 たぶんこういうところから、ラルティーグの自転車や自動車レースの機械+人間表象の読み方や、うえにもあげたサンダウ表象の読み方ももっと穿てるに違いない。
 これは以前アマチュア写真論で自転車に乗った女性アマチュア写真家の恐怖を調べたときとも絡んでくる主題だろう。

■筋肉芸人の系譜学
蛇足だが、エンゼルマン体操から中山きんにくんを経てかっちかちやでのザブングル加藤、さらには小島よしおに連なる筋肉芸人のなかば硬直した半笑いと筋肉の問題もここには加わるのかもしれない。失効した筋肉表象の現在。そういうこと。