第一作


■のろいのビデオ1
 記念碑的な第一作を見る。

 白い服の黒髪の女性がTV画面に登場する有名な動画が何度となく検証され、その間に数々の投稿ビデオがさしはさまれる。それが『トンネルにて』『墓参りの記録』『劇団の稽古風景』『結婚パーティにて』『事故現場にて』『監視カメラ(カラオケボックス)』『生中継番組』『大学校舎にて』『盗撮試着室』『千駄ヶ谷トンネル』『井戸』。
 このなかで有名なものは『監視カメラ』。重ねて録画されるために生じる監視カメラ特有の現象にすぎないが、その散漫さが独特のリズムになっている。『生中継番組』は、テープのなかの映りこみという点で『女優霊』や『リング』とほぼ一致したスタイル。『大学校舎にて』は、視認して悲鳴を上げ、カメラが何度も怖がりながら霊の姿を視認するというスタイルの起源がある。
 シリーズの原点で組み込まれつつあることとして、誰かがかつて撮影し、それを見直すと認知できる霊がおり、それを投稿し、編集部が視認し、検証する。その検証ビデオに何か写っているとビデオの視聴者が投稿する、あるいはそれを見た人々が撮影したビデオに同じような影が写る、そうした投稿がある。こうしたフレームの連鎖がある。それはのっぺりとしたコンテクスト(つまりのろいやたたりの水平的で、単線的で連続した一本の抑揚のないつながり)というよりも、そのつどの現在に切り出される枠組み、その枠組みから枠組みへの瞬時の移動に本質があるような気がしている。