卒論、修論

■終了
 卒論修論発表会、造形大、同志社、神戸大の4人の卒業生修了生が発表。
 卒論のひとつ(カラヴァッジョの発表)は良く調べていてプレゼンもスマートで感心。ただし、理論的ツールの使い方や歴史的文脈の埋め方はもっと補うことができるし、補うべきだろうと思った。
 森山大道の話は、森山についての1960年代と2000年代の批評言説の変化をおさえるというもの。実存主義的な物言いから、ポストモダニズム的な物言いに批評言説が変化し、それが森山氏の写真の評価と関係しているという内容。1970年代に芸術化していったNYでの写真言説の動向とは異なる、制度的政治的文脈を補う必要性もあり、また年代でそんなにあっさりと区切れない時差をおいた諸変容というものもあるという感じももった。
 ベンヤミンの発表はショックの議論をうがつとともにもう少し広げ、ガニングとかガニングの収斂点にするアヴァンギャルドの問題、それを調べた方がよい。
 で、最後のダンスの発表は、発表のために縮めてしまったぶん、わかりにくくなった印象。もちろん美的モダニズムの分化と深化をあいだに補うべきだというフロアからの感想も納得。

 今年は、発表人数も少なく、会の告知までの期間も短く、ここ4年間のなかではいちばん小さな会になってしまった。もう少し、4年生や修士二年生が相互に連絡をとって、もりたててくれると、まだ続くと思う。そこが反省点。大学相互の壁が厚くなっている状況だけに、こういう催しはもっとエネルギッシュにやってほしいとは思う。

以上メモ。