Diana and Nikon

■Diana and Nikon
ようやくマルカムの論をざっと読む。主張自体は首を傾げるしかないが、70年代にいち早くシャーカフスキーの論点を取り出した論考として貴重。
ちなみにダイアナとは60年代に発売されたトイカメラ。ハードカバーでは、これにディアーナ(アルテミス)の弓矢をもつイメージが重ねあわされている。ヴァナキュラー写真をこれが象徴し、ニコンはその対立項ということ。ペーパーバックの表紙は不明。

Janet Malcolm: Diana & Nikon: Essays on Photography, Expanded Edition

Janet Malcolm: Diana & Nikon: Essays on Photography, Expanded Edition

グリーンの本も捜索する。ひとまずその内容はマルカムの指摘を読むしかない。
Snapshot

Snapshot

スナップショット美学の問題も合わせて考える。


■『鏡と窓』
をようやく全訳する。実はずいぶん昔に山岸氏の抄訳がされていたのだが、省略されてしまった部分が多く、それを全部補うと二倍ほどの分量。ついでに捜索中も含めてシャーカフスキー文献を追加して挙げておいた(HPのシャーカフスキー・ページ)。
 ところでこの解説文には50年代以降の写真の流れが主に6つのトピックにしたがって説明されている――(1)ジャーナリズムの衰退、(2)写真教育の大学での拡大(および美術との融合)、(3)アパチュアと人間家族と『アメリカ人』、(4)フランクとホワイト、(5)ストレートとマニピュレーションという二分法の再考、(6)現在の写真家たち。不思議なことに、鏡も窓も一言も出てこず、その言い換えしかない。カテゴリーの精度というよりも、鏡と窓という対立項は、シャーカフスキー以前のホワイトらの言説と「鏡」を関連付けて考えねばならないし、「窓」にしても現実の個人的な表象方法というフランク以降の問題を関連づけて考えねばならない。