洞窟、銀塩

■洞窟
10+1サイトに岩面画の記事があった。参考図版として拾う。西ヨーロッパの洞窟のアーカイヴもある。
 これとは別に考えているのだが、起伏ある面という特性以上に、洞窟では照明という問題もあるし、自身が影となって画そのものに重なり合うという問題もある。不均等に当たる光と光源、そして歪む影の問題からも考えてみたいと思う。洞窟の比喩の光源や影像のものいいはあまりにも均質なので。
 この研究をしている院生の話を聞いていると、洞窟画の多くが非公開となり、その複製を鑑賞するのが典型となっていて、なにか倒錯した鑑賞形態があるようだ。周囲の人工的環境のなかに飛び地として残された洞窟、しかもそこは監視カメラや模造で間接的に見るという様態。

 某学会の査読がいつもその他としか呼べない主題が多かった時期があり、ある時、洞窟画論文も打診されたことがあるが(断った)、なかなかどうして面白そうな鉱脈がありそうな気がしている。早速古典的な本を注文。

芸術の起源を探る (朝日選書)

芸術の起源を探る (朝日選書)

はじめにイメージありき―原始美術の諸相 (1971年) (岩波新書)

はじめにイメージありき―原始美術の諸相 (1971年) (岩波新書)

銀塩の終わり
GELATIN SILVER SESSION―21世紀の銀塩写真
以前もあげたことのあるこの本を仕事場から持ち帰り熟読。
ある写真家の写真のネガを当人と別の写真家がプリンターになった比較ページがとても参考になる。写真家への銀塩終焉についてのインタヴューも各人各様で素材になる。