メディウム、ディファレンス

卒論の諸連絡が入って暫し作業中断。一律に「頑張れ」返信ぐらいしか返さないことにした。忙しい。卒論指導はもう終了。あとはハンカチをもって審査に来てください。

◆ポストメディウム
ヴァイベルの論を読む。現在の部分のみ読もうと思ったが論の都合上最初からざっと読む。古代から説き起こし、エピステーメとテクネーがリベラルアーツとメカニカル・アーツの対立に切り替わり、やがて諸アーツの競合が生じて、近代以降、しだいにアート相互の等価性が実現され、ニューメディアヶすべてを包含し、こうしたトランスメディア、インターメディアなポストメディウム的状況が生じるという筋は分かる。それゆえに諸アーツの根底にある科学、芸術、政治の間の関係があらたにシャッフル状態になっているというのも分かる。ただ、あまりに楽観的すぎる気もしないではない。

次はマノヴィッチのポストメディウム美学。少し古めかしそうだが、一応基本文献なのだろう。

◆インデックス特集
Differences誌の特集「インデックス性:痕跡と記号」(Volume 18, Number 1, 2007)もDL。以下の論文が収録。先述のクラウス批判論文で少しだけ言及されていた雑誌。
・Mary Ann Doane,Indexicality: Trace and Sign: Introduction
・Peter Geimer, Image as Trace: Speculations about an Undead Paradigm
・Tom Gunning ,Moving Away from the Index: Cinema and the Impression of Reality
・Brian Rotman,Ghost Effects
・Elizabeth Cowie,Specters of the Real: Documentary Time and Art
・Mary Ann Doane, The Indexical and the Concept of Medium Specificity
・Braxton Soderman,The Index and the Algorithm

アン・ドーンを読んでガニング、そしてロトマンというプランを立ててみる。オクトーバーのベイカー「写真の拡張された領野」も気になったので注文する。クラウスにこだわるつもりはないが、拡張を十分に遂げていないクラウスの論をなぞって別の軌道を紡ぐことも重要に思える。これはまた。