5 スクロール(軸はふたつ)
上下左右にスクロール可能なスクリーン。『ウルティマ3』などが例に挙げられる。
こうしたゲームの大部分は、あるエリアを鳥瞰的に見下ろす画面が含まれ、同時にその中の対象は側面観で示されている。上下左右とあるがどちらかの運動がドミナントな場合が多い。
 ここでも映画との比較もなされている。側面からのショットでトラッキングしていくものの例として、ゴダールとゴランの『万事快調』の断面の露出したオフィスのショットが、セルアニメーションでよく見られるショットが挙げられる。
 タイプ3の場合と同様に、プレイヤーはスクリーンの端をモニタリングしなければならないことも多く、画面の端に現れるキャラクターが不確かになることもポイントである。

6 一度にそのつどひとつのみ隣接する諸空間が示されるタイプ
 例は『アドヴェンチャー』『スーパーマン』。隣接する部屋や諸空間が、スクローリングなしに一方から他方へと直接切り替わるタイプ。二つの空間はオーバーラップしない静態的スクリーンの連続として提示される。つまり画面左端から出ると、次の隣接空間の画面の右端からプレイヤー=キャラクターは入ってくることになる。アクションの方向は保存される。これは映画における連続的編集に依拠している。。。と言われる。
 映画の例がふたたび挙げられる。グリフィスの『淋しき別荘』(1909)『A Corner in Wheat』(1909)など、複数の空間を一連の隣接空間として構造化し各々を固定カメラで撮影したショットが引き合いに出される。
 ヴィデオゲーム『アドヴェンチャー』は同様の空間の構造化を試みており、隣接画面で突如遭遇するキャラクター(ドラゴン等)は「サスペンス」を生むのだ、、、と説明される(おそらくショックの間違い)。映画の場合との違いは、次の空間へのカットを決定するのはプレイヤーだということ。
 『アドヴェンチャー』についてさらに話は続く。20以上のスクリーンが構造化されたこのゲームで興味深いのは、たんに平面図でマッピングされるような位置づけのものではない隣接空間も包含されているところである。たとえば城の内部や壁の背後など、バーチのオフスクリーンの分類から考えれば、第6の分類(セットや対象の背後)が含まれているのである。(またこのゲームは初めて非ユークリッド空間を用いたヴィデオゲームでもある。。。省略)。
 セットや対象の背後の次元へと向かうということは、ゲームにおけるX軸Y軸に加えてZ軸を表象するさきがけでもあったが瞬時に次画面に切り替わるので不十分な形で表現されているということもできる。

(ひとまずここまで。)