読書会、拡張論文

■読書会
夏の読書会企画を考えている。たぶん8月3日間朝から晩まで論文を読む企画です。テクストは映像メディア関係を一応予定。とはいえ、今年は修士がいまひとつ人数が少ないので、元気な担当責任者を募集中。


■拡張論文1
 ジョージ・ベイカーの「写真の拡張された場」を授業で紹介する。クラウスの「拡張された場における彫刻」の20数年後にその図式を現在用いて「理論的対象」としての写真以後を考える論考。
 「理論的対象」としての写真とは、70−80年代にアート・ワールドにおいて非芸術的なものをアートにおいて流用するための媒介としての写真、つまり、ある種の言説的なメディウムとして写真がコンセプチュアル・アートからポストモダン・アートにいたるまでの外部性のための中継になりえていたということである。しかし、クラウスは写真を、構造映画、ヴィデオにならぶ自己差異化的で還元不可能な装置的メディウムとして取り出しておきながら、その潜勢力は十分にとりだされてもいないし、またソロモン=ゴドーのちょっとした言辞以外(芸術写真以後の写真)、彼女の理論的企図を敷衍する試みはない。もちろん、敷衍されるべきクラウス自身の彫刻論も可塑的なものであり、しかも彫刻という格好のカテゴリーゆえにおさまった図式だとも言えてしまうかもしれない。
 それはともかく、ベイカーの議論を何回かに分けて紹介したい。だが今日はここまで。