2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

メディア論としての心霊映画

■読書会みはからい 読書会。ディディ=ユベルマンの聖骸布をめぐる議論。まだ前口上。 ついでに見計らいで次々と出色の本がやってくる。Thomas Demand: Catalogue Serpentine Gallery London作者: Beatriz Colomina出版社/メーカー: Schirmer/Mosel Verlag G…

振り返れば奴がいる表現

■バベッジの晩餐会 チャールズ・バベッジについて調べている。 写真発明当時のイギリスの発明狂の紳士たちの集まる結節点におり、自動機械人形と織ることとレースと写真とインデックス的怖さとデジタル問題が一気に集約して語ることができそうなバベッジ。ひ…

心霊映画と心霊写真

■入れ子式の怖さ――女優霊―― 昨日の発表でも説明されたように、この映画は入れ子式の反復構造がループを描いていく怖さが軸となった映画である。つまり、映画内映画のメタ映画という体裁をとっている映画。しかし、普通のメタ映画以上の入れ子構造があり、そ…

科研

■手写真 以前も紹介したこの本を読む。心霊写真ネタ関連。■科研 今日は科研。ケロロ軍曹と女優霊の発表。 その場で報告者には言いたいことはいくつか言ったのでことさらに付け加えることはあまりなし。 ケロロ軍曹に関しては立場を明確にすることにつきる。…

親指通信と親指画像

■モバイルのヴァリアント 昨日の項で挙げた論集のなかのthe mobile phone as technological artefactを読む。 列挙型の論文(レポート)ではあるが、基本的な事項の確認にはなる。 とくにケータイの使用者による当初見込まれていなかったさまざまな用法、ヴ…

モバイルな不在

■心霊写真レクチャー 23日に書いた内容を――あまりに長くなったので――押し込んだら、トラックバックが消えてしまったので再度こちらからお知らせ。9月末に毎年恒例のレクチャーをします(id:BunMayくんのブログをご参照ください)。■ホラーマンガ集成ホラー…

花環のなかの写真、彼岸の手前の写真

■花環と写真 もの写真の続き。まず左。1910年頃にアメリカで制作されたもの写真メモリアル。 深めの箱に、蝋細工の花が周囲を飾り、嘴に麦の穂を咥えた飛翔する剥製のハトが左右対称に取り付けられ、「安らかに眠る」の文字が織物で記入され、そしてやはり布…

「私が切手に。」

■写真切手写真切手の記事。以前は写真つき切手にすぎなかったが、今回はもう少しまともなもののよう。もの写真であり、ましかく写真であり、交通性をそなえている写真。切り取られた後、すぐに舐められ、貼付され、スタンプを押され、手紙というメッセージの…

写真服

■女優霊上映 今週末、映画『ディセント』公開記念として、『女優霊』を含めた「日英ホラー映画最恐伝説」が京都みなみ会館で開催されるもよう。映画館で『女優霊』を見ることができる、これまで明るいモニタで見ていた霊にようやく本来的な会いかたができる…

記憶を編むことと写真

■編むことと写真 もの写真のなかには髪の束がその構成物の中に組み込まれているものが多い。髪を切って形見として手渡すということがいつ始まったのか、髪を本人の体の一部と見なす儀礼が欧米でいつ始まったのか、その詳細は明確には分からない。しかし、イ…

心霊映画十番勝負

■蝋人形、菊人形、着せ替え人形 先日紹介した川井さんから御著書、論文を送付していただく。 その資料の豊富さにしばし狂喜する。全国の菊人形の調査をまとめられた『菊人形ガイドブック』、そして「着せ替え人形で遊ぶ人たち」、いずれも歴史的目配りのきい…

なつかしい写真、もの写真、記憶の立体性

■刺繍と写真 バッチェンのヴァナフォト本通読終了。さして難解な内容ではないのだが、ひとつひとつの事例が、写真を越えでる想起の厚みをもっていて、ついつい立ち止まってしまう。かつてあったと今あるだけにとどまらない、現在性の誘発のために、写真に加…

遺影以上心霊未満

■恐山と写真 について昨日ちらりと聞いた話。 恐山写真と言えば、すでに写真家の作品にもなっているが、恐山には遺影がみっちりぎっしりと展示された建物があるという。別にある一族の遺影写真ではないし、その由来もさまざまだという。それは遺族がもってき…

写真が体の一部になること

■送り火大文字。法と大の字を見て終了。年々高いところが苦手になってきている。 ともかく霊のかたがたはお帰りになったので、本格的に霊関係仕事を構想しはじめる。■ロケット写真 もの写真には身につける装身具としての写真がある。 例えば次のような写真。…

写真に顔をうずめること

■写真墓石 もの写真のひとつとして、時期も時期なので墓に刻まれる写真。ペットのお墓ページを参照。犬小屋型、ハート型、得体の知れない形状のものもある。 墓石に写真を焼き付ける作業の動画はこちら(プリズムTV)。左の列上から二番目。■盆タレ これも…

回路人形もの

■回路 黒沢の『回路』が面白いのは、「ある」と「ない」が通常のものとは逆転しているところにある。つまり、「ない」ものが「ある」に変わる恐怖映画が多いのに対して、この映画はひたすらあるものがなくなる。なくなることが反復される。つねにつきまとう…

あるとないをつなぐ

■人形ホラーのつづき …といって話は心霊表象動画の話のつづき。 「ある」タイプの映像においてはぎこちない断続的な動きが恐怖映画の醍醐味であるし、また、何より映画にはショット編集による、あるとないのつなぎが重要である。 後者については、視線のつな…

X的かたりと音の越え方

■音ホラー 『サイレン』注文。石野卓球調べがてら購入。 音を使ったホラーを辿ることはできないかとふと思う。たたり [DVD]出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ発売日: 2006/07/14メディア: DVD クリック: 2回この商品を含むブログ (6件) を見るこれ…

更新力不足労働過多

3日間集中的に某大学で授業をしているので諸々更新不足。蝋人形の研究者からメイルをいただく、 かなり面白そうな本を出版されたようなので紹介をまたします。

写真論として

■ ディディ=ユベルマンの邦訳新刊を送ってもらう。感謝。イメージ、それでもなお アウシュヴィッツからもぎ取られた四枚の写真作者: ジョルジュ・ディディ=ユベルマン,Georges Didi-Huberman,橋本一径出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2006/08/08メディア: …

実話型、感染型

■読書会 聖骸布についてのディディ=ユベルマンの論文を読む。ヘーゲルやパースの言説のヒネリが入っている。下記は以前購入した関連書。聖骸布作者: ガエタノ・コンプリ出版社/メーカー: サンパウロ発売日: 1998/03/25メディア: 単行本この商品を含むブログ…

人形ホラー

■人形ホラー わたしの人形は良い人形 (あすかコミックス 5-2)作者: 山岸凉子出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 1987/06メディア: 新書購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (5件) を見る人形つながりで、人形ホラーも集めはじめる。蝋人形ものはすで…

たわわほんこわこわかわ

■「小さな地理」 河合晋平さんから東京での展覧会のお知らせをいただく。過去の作品リストも整理されていて、通販カタログ的になっている。■ほん怖ほんとにあった怖い話 完全版 [DVD]出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント発売日: 2004/02/25メデ…

映像が怖いということ

■映画の魔作者: 高橋洋出版社/メーカー: 青土社発売日: 2004/09メディア: 単行本 クリック: 27回この商品を含むブログ (32件) を見るJホラーを考えるならば今のところこれが一番詳しい。そして幽霊表象を考えるための表象論の基礎になる記述も多い。たとえば…

カメラLOVE

■万太郎って ひとがうまれるのはなんにせよめでたい、命名もご両親の愛情の証である両親から一字ずつもらって名前をつけられた子どもはなおさら幸せだと思う。もういちど繰りかえすとひとがうまれるのはなんにせよ… でも万太郎には力が抜けてしまった。 さわ…

視文研と肉大会

■研究会 昼から研究会。各大学から25名ほどいろいろな学生が来てくれてぼつぼつ盛況。 その後、肉食べまくりのBBQ大会であった。…それにしても肉が7キロ揃うとすさまじいものだと思う。 感想を簡単にまとめておけば、ミース論は物質の置き場をどこにするか…